バイオマス燃焼内部循環流動床ボイラーの伝熱管は,流動媒体である砂によるエロージ
ョンおよび環境中に含有する塩によるコロージョンが共存する高温過酷環境下に曝される
ため使用中に激しく 損耗する. 多くの流動床ボイラーでは, Ni 基自溶合金の JIS SFNi4 や
SFNi5 がコーティング材料として用いられているが,耐エロージョン・コ ロージョン性は
十分とは言えず,メンテナンスに多くのコストがかかっている.そのため, コーティング
の高温エロージョン・コロージョン特性の向上が求められている. 著者らはこれまで, 既
存のコーティング材料に含有する 元素が高温エロージョン・コロージョン特性におよぼす
影響について調査し, Mo の影響について報告した 1). Mo は耐高温エロージョン・コロー
ジョン性を低下させることがわかり , Mo 添加合金上に形成した酸化皮膜が多孔質であっ
たことが速いエロージョン・コロージョンを引き起こした要因であると考察した.本研究
では, Mo に加え Si および Cr の影響を調査し,得られた結果に基づいて新規耐高温エロー
ジョン・コロージョンコーティング材料を開発した.